会社設立前に知っておきたい合同会社(LLC)のメリットとデメリット

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法務省「登記統計 統計表」によると、ここ10年で、独立・開業した法人の形態として、合同会社(LLC)が急増とのことです(出典:法務省「登記統計 統計表」第20表 種類別 合同会社の登記の件数(平成19年~28年))。
興味はあるものの、「株式会社や個人事業主と比べてどういうメリット・デメリットがあるのかよく分からない」という方もいらっしゃると思います。そのような皆さまに向け、税サポ編集部では、合同会社のメリット・デメリットについてまとめてみました。ぜひご覧いただければと思います。

合同会社のメリット(株式会社/個人事業主と比べた場合)

まず、主な合同会社のメリットについて確認しておきます。個人事業主として起業し、合同会社を設立しようとする場合、どんな点が有利になるのかを下記にご案内します。

  1. 設立にかかる費用(株)
  2. 役員の任期の定めが不要(株)
  3. 自由な損益配分が可能(株)
  4. 決算の公告義務がない(株)
  5. 社会的信用が上がる(個人)
  6. 資金調達の幅が広がる(個人)
  7. 法人の節税メリットが利用できる(個人)

 (株):株式会社と比べた場合のメリット
(個人):個人事業主と比べた場合のメリット

1.設立にかかる費用

前回のブログでもご案内しましたが、合同会社の設立にかかる費用としては、登録免許税6万円(ただし、資本金の額の1000分の7が6万円に満たない場合に限ります)のみが掛かります(電子定款の場合)。一方、株式会社の場合、登録免許税15万円(ただし、資本金の額の1000分の7が15万円に満たない場合に限ります)と定款認証5万円で、20万円もの費用が掛かります。これにより、合同会社のほうが14万円も安く設立することができることが分かると思います。

2.役員の任期の定めが不要

合同会社は業務執行役員の任期を定める必要がありません。これに対し、株式会社は、役員の任期が、原則として2年~10年(株式会社の組織によって異なる)と法律で定められており、任期ごとに再任などの登記手続き(登録免許税1万円。ただし、資本金の金額が1億円を超える場合には3万円)が必要です。

3.自由な損益配分が可能

株式会社の場合は、出資額に応じて利益の配分を行いますが、合同会社の場合は、出資額の多少に関係なく、出資者間の合意によって利益の配分を定款で自由に決めることができます。例えば、会社への貢献度が高い人に対して配分の割合を大きくするといったことも可能です。この点は、合同会社の大きな特徴であるといえます。

4.決算の公告義務がない

株式会社は毎年、事業年度終了後、定時株主総会において承認された貸借対照表などを公告する義務があります。この公告を「決算公告」といいます。合同会社には、株式会社と違い、この決算公告の必要がありません。ですので、合同会社の公告方法は、安価であり、手続きも容易な『官報』にするのが一般的です。公告方法は、定款に必ず記載しなければならない事項ではありませんので、定款に記載しない場合は自動的に、「官報に掲載する方法」となりますが、あらかじめ定款内に記載しておくことが望ましいといえるでしょう。

<参考:「公告」とは>
公告は、会社の重要な事項に関して、会社が株主や債権者などの利害関係人に周知することを目的として行われるものです。この公告すべき重要な事項は法律で定められており、合併公告、資本金の額の減少公告、解散公告、決算公告などが挙げられます。公告の方法には、1.官報に掲載する方法、2.日刊新聞紙に掲載する方法、3.ホームページに掲載する(電子公告)場合の3つがありますが、合併公告、資本金の額の減少公告、解散公告等、一定の場合には必ず官報公告を行う必要があり、この場合は、定款に定めた公告方法と官報公告の両方を行う必要があります。また、公告の方法は、商号、目的、本店所在地等と同様に登記事項であり、設立後に発行される登記事項証明書にも記載されます。

5.社会的信用が高い

合同会社を含む法人は、管轄の法務局で登記を行うことによって設立されます。そして、この登記内容は、誰でも取得可能な「登記事項証明書」で確認できます。このことにより、個人事業主と比べて取引の安全性などが増すため、社会的信用が高いのが特徴です。

6.資金調達の幅が広い

合同会社は、金融機関からの融資に加え、社債の発行による調達も可能なため、個人事業主に比べ、資金調達の手段の幅が広いのもメリットの一つです。

7.法人の節税メリットが利用できる

合同会社などの法人は、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広く、節税の余地が大きくなります。例えば、法人名義で購入した車の減価償却費やガソリン代、携帯電話の通話料などは、全て会社の経費として認められます(個人事業主の場合、自家消費分は経費と認められません)。また、生命保険料や不動産の売買にかかる損益なども、会社の経費として算入することができる場合があります。
なお、例えば、交際費については、個人事業主の場合、業務に関連して支払ったと認められる限り、全て経費となりますが、法人の場合、損金の算入に一定の制約があるため、項目によっては、税務上、個人事業主の方が有利な場合もあります。

合同会社のデメリット(株式会社/個人事業主と比べた場合)

合同会社と株式会社に比べたときの主なデメリットについても見ておきましょう。また、個人事業主として起業し、合同会社を設立した場合、どんな点が変わるのかも合わせて事前に知っておく必要があります。

  1. 合同会社の知名度の低さ(株)
  2. 社員同士の対立が起きやすい(株)
  3. 赤字でも払わなければいけない税金がある(個人)
  4. 経理事務の増加による負担増(個人)
  5. 社会保険の加入が必須になる(個人)
  6. 資金調達の手段が少ない(株)
  7. 上場ができない(株)

(株):株式会社と比べた場合のデメリット
(個人):個人事業主と比べた場合のデメリット

1.法人格としてはまだ知名度が低い

一般的に、合同会社は認知度が低く、また株式会社より信用度が低いと考えられています。
そのため、求人を行う際に人材が集まりにくい傾向があったり、新規取引先の開拓などの面で不利になったりすることがあります。

2.社員同士の対立が起きやすい

メリットの3でお伝えした通り、合同会社では、出資者間の合意で自由に利益の配分を定めることができます。この場合、利益配分を巡って対立が起きやすいということが挙げられます。なお、合同会社では、原則として、社員は出資者と業務執行役員を兼ねているため、もし対立が起こった場合には意思決定や業務の執行が止まってしまう恐れがあります。

3.赤字でも払わなければいけない税金がある

合同会社を含む法人を設立すると、たとえ赤字決算であっても「法人住民税」の均等割部分については納税しなければなりません。具体的には、約7万円(都道府県民税の均等割が2万円、市町村民税の均等割が5万円)は、売上が上がらなかった場合でも最低限納税しなければならないため注意する必要があります。
なお、資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人の場合、「法人住民税」の均等割部分のほかに、外形標準課税(付加価値割、資本割)についても同様に、赤字決算であっても支払いが必要です。

4.経理事務の増加による負担増

法人の経理処理は個人事業に比べて非常に煩雑になります。そのため、専門の経理担当者を雇用したり、税理士事務所に記帳代行を委託したりする必要が出てくることになり、その分の負担が増えることになります。

5.社会保険の加入が必須

個人事業主の場合、従業員が5人未満なら社会保険の加入は任意となります。合同会社を含む法人の場合には、社長1人の会社でも社会保険への加入義務があるため、社会保険料の法人負担が発生します。

6.資金調達の手段が少ない

株式を増資して資金調達するといったことができないため、創業直後に、投資家などからの大掛かりな資金調達をしたい場合には、株式会社のほうにメリットがあります。

7.上場ができない

株式会社と違い、合同会社は上場することができません。合同会社は株式会社に移行することもできますが、創業から間をおかずに上場を目指したいという方は、設立時に株式会社を選ぶことをおすすめします。

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まとめ

今回は「合同会社のメリット・デメリット」をご紹介しました。個人事業主も含め、どのような形態で事業を開始するかは、起業家の皆さまの自由です。ただ、「みんなが株式会社にしているからそうしようかな」、とか、「合同会社のほうが楽かも」などと安易に事業形態を決めるのではなく、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと理解したうえで会社の設立をしていただいたほうが、後々になって困ったということも少ないかと思います。
税サポでは、今後も起業家の方や経営者の皆さまにお役立ていただける情報を発信していきますので、どうぞご期待ください。

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